皆さんは、"CoQ10(コエンザイムQ10)"という名前を聞いたことがありますか?
妊活中の方にどんなサプリを飲んでいるか聞くと、葉酸とCoQ10を一緒に摂取している方が多いように感じます。
「妊活中に良いって聞いて飲んでます!」と、詳しくは分からないけど、何か効果があるのだろうと飲んでいる方がほとんどだと思います。
結果からお伝えして、妊活に有力な効果がある事は間違いありません!!!
なぜでしょうか…?
詳しくお伝えしていこうと思います。
まず、CoQ10の名前の意味や性質について簡単にお話します。
CoQ10の"コエンザイム"は日本語で"補酵素"のことで、"10"はコエンザイムQの構造であるイソプレノイド鎖が10回繰り返されることから、"CoQ10"という名前がついています。
CoQ10は、脂溶性のビタミン様物質です。
脂溶性物質は水に溶けにくい性質を持つため、吸収率があまりよくないと言われています。
ビタミン様物質とは、体内においてビタミンに似た作用をもたらすもので、CoQ10は"ビタミンQ"などとも呼ばれていましたが、正確には動物体内で合成する事が出来る物質のため、ビタミンではありません。
CoQ10には、別名が多く"ユビキノン"と言われることもあります。
ちなみにユビキノンとは、ヒトの全身のあらゆる細胞膜、そしてミトコンドリア内に豊富に存在していることから、"あらゆる所に存在する"という意味であるラテン語の"ユビキタス"という言葉に由来しています。
名前や性質からわかるのは、ヒトの身体に吸収されにくい脂溶性物質であること、ビタミンのような働きをすること、体内で構成できる補酵素であること、体内のあらゆるところに存在していることなどです。
私たちの身体は、体内の臓器も身体を動かす骨格筋も全てエネルギーを原料に動いています。
CoQ10は特に、たくさんのエネルギーを必要とする心臓の筋肉や、骨格筋、肝臓、腎臓などに多く存在しているといわれています。
主な働きとしては、ミトコンドリア内で生命活動に必要なエネルギーの原料の力を活性化することです。
CoQ10は食事と同じでヒトの身体の栄養素となる燃料のようなものなのです!!
十分にCoQ10の摂取ができていると、ATPの力を活性してくれるため、体内で効率よくエネルギーが作られ、疲れにくい健康な体を維持することができると考えられています。
エネルギーの原料となる物質はATP(アデノシン三リン酸)といわれるものです。
ATPは細胞内に存在し、活動時に利用されるエネルギーを貯蔵できるので必要不可欠です。
普段から食事で摂取している糖質、脂質、タンパク質などの栄養素が材料となり作られています。
私たちはATPを作るために、食事をしているといっても過言ではありません。
糖質が最も早くエネルギーを作る燃料とされ、脂質は最も効率の良い燃料にはなります。
タンパク質はヒトの身体の主成分ですが、燃料としての働きはあまり優秀とはいえません。
ATPの源となりやすい「糖質」と「脂質」では、ATP生成の速さでは脂質が劣ります。
ただ、エネルギーとしては糖質が"低エネルギー"に、脂質が"高エネルギー"になります。
甘いものを食べるとすぐに吸収され、血液中に入り込み、高血糖を作り出し、あっという間に燃焼されてしまいます。
持続的なエネルギーではないので、『その場しのぎのエネルギー』です。
脂質はすぐに血液中に吸収されず、形と時間をかけながら血液中に入り込み、肝臓に入り、再合成され、全身に分布します。
即効性はないエネルギーですが、ATPを作り出す能力は糖質よりはるかに優れています。
ちなみに、糖質から作られるATPは2つ(無酸素状態)、脂質からは130となります。
食事がATPを作るという目的であれば明らかに脂質の摂取が重要だということです。
そして、糖質が変換される"低エネルギー"は乳酸を発生させます。
乳酸はpH5の酸性で蓄積すると疲れやすくなったり、身体に悪影響を及ぼし、健康状態に関わります。
糖質の摂取は、乳酸の蓄積にも繋がりますし、身体の構成成分としては、後回しにしても良い栄養素ですので、過剰は禁物です。
とはいえ、たくさんの臓器がエネルギーを必要としているため、ATPもたくさん必要です。
そこでCoQ10はATPを作るうえで重要な役割を果たします。
CoQ10はミトコンドリアで行われる電子伝達系と酸化的リン酸で使用されます。
まずは図を見てください。
糖質、脂質からTCAサイクル、CoQ10、シトクロムCを介して、ATPを作り出します。
ATPを作るために必要不可欠なのがわかります。
また、CoQ10には、強い抗酸化作用も含まれています。
増えすぎた活性酵素による身体の酸化を防ぐことで、老化予防になるといわれています。
しかし活性酵素というものは、100%悪い物質ではなく、普段は体の中に侵入した細菌やウイルスをやっつけてくれる働きを持っています。
必要な物質ではありますが、増えすぎてしまうと傷つけなくてもよい細胞まで攻撃してしまうため、生活習慣病や老化の原因になるのです。
もちろんここで話している老化というのは、外見のことだけでなく、卵子の質、卵巣や子宮の働きにも同じことが言えます。
この活性酵素はどのように増えるかというと、過剰な運動やストレス、紫外線、喫煙などが原因だといわれています。
さらに、ミトコンドリアでエネルギーが作られる際にも活性酵素は発生します。
私たちの身体では、活性酵素からのダメージを防ぐために、SOD酵素という抗酸化作用を持つ酵素が体内で作られます。
SOD酵素は、活性酵素の量が増えすぎないように、活性酵素を除去してくれる酵素です。
活性酵素はSOD酵素によってバランスが取れてるという訳ですね。
ただし年齢を重ねるとともに、SOD酵素の量も力も低下していくため、体外から別の抗酸化物質を摂取しなくてはならないという訳です。
体外から摂取するとなると、食事やサプリが考えられます。
抗酸化作用を持つビタミンや物質は様々で、ビタミンA・C・Eや、ポリフェノール、カロテノイドなどが存在します。
もちろんCoQ10もです。
CoQ10は、自身の作用のみならず、ビタミンEの働きを助ける作用があるため、一石二鳥な仕事をしている栄養素です。
さらに、ビタミンEはビタミンCの吸収をしやすくします。
抗酸化作用を持つ栄養素たちが、お互いの働きや吸収を促進してくれることは、私たちにとってメリットでしかないのです。
ここまでCoQ10はエネルギーを作る重要な成分であると、お伝えしてきましたが、年齢や食事、様々な病気などにより、体内のCoQ10含有量は減少していきます。
含有量は20代前後でピークを迎え、40代を過ぎると心臓・腎臓を中心に身体中のいたるところで急激に減少していくのです。
CoQ10が欠乏することで、エネルギーの生産力が低下し、疲れやすい、肌の老化現象、免疫低下、肩こり、物忘れなど様々な症状が起こりやすくなります。
欠乏させないためには、基本的に毎日どのくらいのCoQ10を摂取すればいいのか??
CoQ10の摂取推奨量 60~100mg/1日
それぞれの食材に含まれる量や一日に必要な分の食材を並べてみようと思います。
CoQ10は主に、魚類、肉類、大豆などのたんぱく質に多く含まれています。
100gあたりの含有量
イワシ6.4㎎
豚肉3.8㎎
ごま3.2㎎
ピーナッツ2.6㎎
大豆1.9㎎
ほうれん草1㎎
ブロッコリ0.8㎎
この他にもサケ、うなぎ、鶏肉、卵、などの動物性の食品やジャガイモ、キャベツなどの植物性の食品にも多く含まれています。
これらの食材で、100mg摂取するのに必要な量がこちらです。
・いわし 15匹
・にしん 40匹
・さば 23匹
・いか 4㎏
・牛肉 3㎏
・豚肉 4㎏
・大豆 5㎏
・ほうれん草 10㎏
・ピーナッツ 4㎏
・えんどう豆 30㎏
CoQ10を多く含む食材とはいえ、この量を毎日食べるとなると、かなり大量な量を食べなければなりません。
十分なCoQ10を摂取する前に、肥満になってしまいます・・・。
というか物理的に胃のキャパを超しますよね…?
CoQ10はいろいろな形で摂取できるとお伝えしてきましたが、食事だけで十分に摂取するのはとても難しいです。
そこでおすすめするのが、サプリです。
もともとCoQ10は、脂溶性物質で吸収しづらい栄養素です。
そのため、食事から摂取してもCoQ10の10%程度しか吸収されていないと考えられています。
吸収されづらい上に、摂取すべき量が毎日食べるのにはきつすぎる…
出来るだけヒトの身体で吸収しやすいサプリ、一粒のCoQ10の含有量の多いサプリを選んでいきましょう!
どんなサプリが吸収されやすいのでしょうか…?
CoQ10は体内に取り込まれると酸化型から還元型へと変化されます。
この時に、抗酸化作用を発揮しています。
つまり還元型CoQ10として吸収されて、抗酸化作用を強く発揮させるということです。
還元型CoQ10のサプリは、コストパフォーマンスはあまりよくありませんが、体内で吸収されるCoQ10と同じ構造をしているため、変換の手間がなく吸収する事が容易に出来るのです。
そして、一般的にユビキノンと呼ばれるのが"酸化型CoQ10"です。
酸化型CoQ10は、コストパフォーマンスがよく、比較的にどこでも売られているため、簡単に入手する事が出来ます。
しかし、体内に存在しているCoQ10は酸化型CoQ10とは構造が違うため、吸収するには体内で還元型CoQ10に変換しなければなりません。
変換という手間がかかってしまうし、エネルギーも使います。
その分の吸収効率は落ちていまいます。
ただ、酸化型CoQ10も全く吸収されないわけではないので、効果は得られます。
コストを考えるのなら、酸化型CoQ10でも良いかと思いますが、吸収率を考えるのなら、還元型CoQ10を選ぶべきでしょう。
もし、酸化型CoQ10を摂取する際には、中でも吸収されやすい包接体のサプリを選びましょう。
包接体というのは、オリゴ糖の一種であるシクロデキストリンという物質で包まれているものです。
蓋と底のない筒状の構造で、外側は親水性で水に溶けやすく、内側は親油性で脂に溶けやすい性質を持っています。
シクロデキストリンは、CoQ10のように水の溶けにくい脂溶性物質を親油性の内側に包むと、均一に水中に拡散して溶かしてくる作用があるので、もってこいなのです。
普通は、この外側と内側の真逆の性質によって、酸化型CoQ10の吸収率を上げてくれるのです。
ここでCoQ10の働きをまとめてみました!!
【エネルギー生成で、細胞・筋肉・臓器の活性化と抗酸化作用!!】
CoQ10は体内でエネルギーとなる物質なので、身体中の細胞・臓器・筋肉など体中の様々な機能・働きが良くなります。
細胞や臓器、筋肉の働きを助けると多くのメリットがあります。
ちなみに、エネルギーをたくさん消費して体力が必要なスポーツ選手にも良いとされています。
◎ 疲労回復
体中の機能が上がるので、疲れにくくなる。
◎ 心臓病予防
心臓にはたくさんのエネルギーが必要。
◎ 脳の働きの活性
脳細胞が活性することで記憶力が上がる。
◎ ダイエット
筋肉・体力upで脂肪を燃やしやすくする。
◎ いびき
筋肉upで働き改善。
◎ 精液量を増やす
精巣の働きが活性化。
◎ 卵子、精子の質をよくする
卵巣、精巣の細胞の活性化、抗酸化作用による細胞の劣化を防ぐ。
◎ 美肌、アンチエイジング
抗酸化作用による老化防止。
肌のターンオーバーとは、皮膚の古い細胞が剥がれていき、新しい細胞とチェンジすることで、いわゆる新陳代謝のこと。
健康な皮膚だと28日周期で、このサイクルは、食生活や間違ったお手入れ、加齢の影響で乱れがちになる。
40歳になると40日周期にまで乱れてしまうと考えられる。
皮膚細胞を活性化させ、肌のターンオーバーを正常化する。
※女性ではターンオーバーと生理周期(ホルモンバランス)は深く関わるともいわれるので、乱れることにより生殖器にも影響が出る。
◎ 関節痛の改善
関節はクッションのような働きをしていて、加齢や肥満で軟骨がすり減る。
クッションが固くなり関節を挟む骨がこすれてしまうので痛みが発生する。
軟骨細胞の活性化で、関節痛の改善。
◎生活習慣病予防
活性酵素はコレステロールを活性し増加させるので、抗酸化作用により悪玉LDLの酸化抑制、過酸化脂質抑制をする。
抗酸化作用は、動脈硬化や糖尿病のリスクを下げる
※高血圧症の方は、通常推奨量60~100㎎/1日に比べ、1日100~120㎎摂取するとよいとされている。
などなど…。
まだまだ私たちの身体にメリットは多くあります。
過剰症の症例も今までほとんど見られていないので、摂取して余計という事はまずなさそうです。
積極的に摂取するのがベストですね!!
自身で何が足りない栄養素なのか、分からない方も多いと思います。
ネットで調べるといろいろな情報が飛び交っているので、混乱したり間違ったことを継続していたり…。
当院では、何が良くて、何が悪いのか、きちんとアドバイスさせていただければと思います!
分からないことや不安なことなど、お気軽にご相談くださいませ。
銀のすず